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新英語教育研究会神奈川支部HP

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2008.9 会報153:5つの研修報告

2008年9月例会(会報153)
●研修報告「研修で駆け抜けた夏休み~5つの研修会で聞いたレポート選りすぐり」
萩原一郎さん(横浜緑園総合高校)

(1)萩原さん
・ レポーターから:神奈川県の研修、新英研全国大会、英授研全国大会、ELEC同友会サマーワークショップ、英語教育達人セミナーと参加してきました。まずそれぞれのセミナーを概観し、その中で出会ったすぐれた実践報告を紹介します。

(2)5つの研修
・ 「研修(けん おさむ)氏のたどった足跡」(研修氏は萩原さんのことです)
(1) 英語教育達人セミナー:谷口幸夫氏(都立戸山高校)主催で参加費は3000~5000円程度。1日に3~4本のワークショップ。参加者は減少傾向。
7月21日(郁文館にて、20名程度)
 ワークショップ「9月から定期テストづくりが変わる!」
8月24日(昭和女子大附属高校にて、20名程度)
 ワークショップ「高校生のための音声指導から暗誦発表、劇づくりまで」
(2) 英語教育リーダー研修講座:ELEC協議会の教師による英語漬け(久しぶりの英語漬けは妙に心地よかった)。神奈川県主催の強制研修で悉皆研修をフォローしたようなもの。初めてディベートを体験、リスニング研修は面白かったが「これは…?」というものもあった。
7月28~30日(神奈川工業高校にて、65名)
(3) 新英語教育研究会 全国大会:8月2~4日(岩手県花巻市にて):地震の影響か参加者は少なめ。第7分科会の松下里美さん(西東京市立明保中学校)「生徒と共に創る授業(3年間の作品を中心に)」は秀逸。自己表現を通しての生徒の見方を学びたい(次回12月13日神奈川支部例会でレポートがあります。お楽しみに!)。
(4) 英語授業研究学会 全国大会:現在最も勢いのあると思われる研究会。大会ではビデオによる授業研究、研究発表、講演、シンポジウムなど多彩な内容だが、月例会の方が学べる気がする。
8月7~8日(神奈川大学にて、300名以上)
(5) ELEC同友会英語教育学会 サマーワークショップ:今回最も内容が濃かった。定員があり、中学は早々に締めきられるほど人気がある。参加者は寝る間を惜しんで準備する。受講生8名にアドバイザーが4人つき、ホームルーム毎に各自20分英語で授業(プラクティス・ティーチング。与えられた教科書を用いて導入の原稿づくり導入の原稿づくりから始まりネイティブスピーカーによる原稿チェックも受けられる)を行い、その後15分の振り返り。午前中にさまざまなワークショップ。8月16~18日(学芸大学附属竹早中学校にて、85名)
 ワークショップ「スピーチ指導について」
研修を受けるにあたって ・ 50分の授業を組み立てる土台作りが必要。Oral Method(語研)、Oral Approach(ELEC)、GDM(=Graded Direct Method)など。
・ 生徒との関係づくり、授業規律、生徒を見る視点
・ 研究会で学んだ活動をバラバラに投げ込んで50分構成してもダメ
・ 英語力と英語教授法のバランス
・ それぞれの研究会の特徴を知る(新英研の温かさ。生徒との関係づくりのノウハウ)

(3)ワークショップ
・ 萩原さんが行ったワークショップ「9月から定期テストづくりが変わる!」
(a) 作成する前に:学習者への「波及効果」を考える(例えば、安易に和訳問題を出せば和訳を丸暗記する生徒になってしまう)。英語が苦手な生徒が多い場合、「勉強すれば点数に結びつく」という体験を与えることが大切。
(b) 教科書で扱った文章の出題:
いわゆる「総合問題」(穴埋め、和訳などを一気に問う)を避ける。
テスト問題のバリエーションを増やす(他教科の設問を参考にすると良い。例えば、国語の現代文を参考にすると「上記の文章を内容上大きく2つに分けるとき、後半部分はどこから始まるか。後半部分の最初の単語1語を答えなさい」)。
(c) 英語を書かせる試み+アンケートによる「学習の方向付け」:絵を見ながらのストーリー・テリングの授業をライティングへつなげる。定期試験で絵を見ながら英語で書く問題を出すことで『波及効果』が生まれ、生徒は絵を見て話したり書いたりする習慣がつく(=和訳の丸暗記には鳴らない)。
また、テスト後のアンケートで「テスト前にどんな準備しましたか?」と問い、
「何もしない」「教科書の絵を見ておく程度」「教科書の絵を見て、口に出して言う練習をする」「教科書の絵を見て、英語で文章を書く練習をする」「教科書の絵を見て、自分で文章を作り暗記する」「絵についてキーワードを書ける練習をする」「その他」の項目で訊く。(解説:アンケートで問うこと自体が学習の方向付けにつながる仕掛けになっている。良い循環をつくっていく仕掛け、見倣いたいですね…。)
参考文献 ・ 萩原一郎「さまざまな研究大会に出席して」『英語教育』(2004.11)FORUMの欄で研修を振り返り、英語教育団体の横のつながり・交流、成果の共有を訴える記事。
・ 萩原一郎「自己研修が授業を変える」『新英語教育』(1995.7)

■参加者の感想
? 萩原先生は短い夏休みに沢山の研修に出られてすごいと思いました。私はまだ新英研の例会に2回来ただけなので、他の研究会との違いがあまりわかりませんが、いいところを吸収していきたいです。
? いろいろ研修する中で英語授業実践の技を教え合ったり、獲得したり。こういう中で本物を見抜く目が養われるのでしょうね。
? 萩原先生の研修報告はそのバイタリティに感動いたしました。また、いつもいただく、まとまったプリントは教材づくりの参考になります。
? 萩原先生はいつも研修に参加され、授業をよりよくするために工夫されているとお伺いしています。時間をかけて、資料を読ませていただきます。
? 萩原さんの研修への情熱を感じました。研修休暇を取る人がほとんどいない職場(中学)で、もっと意識的に取り組まないとたいへんなことになるぞと危惧した。


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